伝統を守る 小正月の行事(飯田・1987年)
ユウガク | SBC 信越放送信州あの日あの時
1987(昭和62)年のニュースから。
飯田市で暮らすの三石さんは、他の家では見られなくなった小正月の行事を続けています。
竹に刺されている白くて四角いのは1センチ四方に切られたお餅。
花のように見えるため「餅花」と呼ばれます。
実は稲穂に見立てて豊作を祈るもので、お餅をたくさん付けることでコメの収穫量も多くなると言われています。
小正月の飾り付けは家の外でも。
ヌルデやネムの木を竹に刺した飾りは粟やヒエといった雑穀の豊作祈願。
その下には「十二月」と書かれた木の札を置きます。
これは「鬼木」と呼ばれ、「まだ12月で正月は来ていない」と鬼を惑わす魔除けだそうです。
庭では三石さんが斧で木を切りつけます。
これは「成り木責め」。
柿や栗など実のなる木に「(実が)ならんとすっぱり切っちまうぞ」と声をかけます。
後ろにいる息子さんが木に代わって「なります」と答え、斧でつけた切り口にお粥を供えます。
部屋の中では餅花に加えてまゆ玉なども盛大に飾り付けられました。
餅花やまゆ玉は小正月が明けた後で揚げたりお汁粉にしたりして食べるそう。
息子さんは「先祖が続けてきた行事なので自分の代でやめるわけにいかない。子どもにも続けてほしい」と話していました。