お蚕(かいこ)さま(1976年)
ユウガク | SBC 信越放送信州あの日あの時
1976(昭和51 )年に撮影された映像です。
畑で男性が桑の葉をとっています。
結構な量の葉を運んだ先は「お蚕(かいこ)小屋」。
中では大量の蚕が飼育されています。
桑の葉は蚕の大好物なのです。
生後1か月の蚕は口から絹糸をはき続け繭を作ります。
繭は製糸工場で生糸に加工され、絹織物などに使われます。
蚕を飼って繭を出荷するのが養蚕農家。
蚕はひたすら桑の葉を食べるため、夜中でも定期的に桑の葉を与えなければならず、農家の人は大変でした。
長野県は明治初期には繭・生糸ともに生産量日本一を誇っていました。
そうしたこともあって蚕は「お蚕さま」とも呼ばれました。
実家や祖父母の家の2階などに「お蚕部屋」があった記憶がある方も多いのではないでしょうか。
しかし大正時代に生糸の価格が暴落、昭和初期の世界恐慌もあって養蚕業は急速に衰退します。
桑を栽培していた畑は養蚕の衰退によってりんご畑に生まれ変わり、現在に至っています。